前回は変数を簡略化して計算しましたが、元の積分変換で考えてみると、或る $\mu$ が存在して

\begin{align} \int_s^{\infty}\mu(r,s)k(X,r)\,dr \end{align}

は $X=m(s)$ で不連続なヘヴィサイド関数となります。ここに

\begin{align} \int_s^{\infty}\mu(r,s)\bigg\{\int_{\mathbb{R}}k(X,r)\psi(X,y)\,dX\bigg\}\,dr \end{align}

が存在するならば $\psi$ の積分も存在して

\begin{align} \int_s^{\infty}\mu(r,s)\bigg\{\int_{\mathbb{R}}k(X,r)\psi(X,y)\,dX\bigg\}\,dr=\int_{m(s)}^{\infty}\psi(X,y)\,dX \end{align}

が成立します。したがって、関数 $f$ がポンペイユ変換の零点となる場合

\begin{align} \int_m^{\infty}\psi(X,y)\,dX=0 \end{align}

を得ることができます。これを $r$ に関して微分すれば $\psi$ が求まりますね。$\psi$ の反転公式は、以前「球面の族に関する積分変換」で求めているので、これを用いて $f=0$ が得られます。

以上で、約100年間未解決だったポンペイユの逆問題は、無事に肯定的に解決されました。(written by J.Nishigata)

研究158- 畳み込みによる積分核の変形その３