前回方針を決めた通り

\begin{align} \mathscr{Q}f(g)=\int_{\partial\Omega}g^{-1}f\omega \end{align}

を適当に積分して $\psi$ を用いて表すことを考えます。平面の問題の場合は、$g$ を適当にとり

\begin{align} \mathscr{Q}f(g)=\int_{\partial\Omega}f(R_{\varphi}x+re(\varphi)+y)\omega \end{align}

としてから $\varphi$ に関して積分すれば

\begin{align} \int_0^{2\pi}\mathscr{Q}f(g)\,d\varphi=\int_{\partial\Omega}\psi(\|x+re_1\|,y)\omega \end{align}

が得られます。簡単ですね。しかし一般次元の問題では、$x$ によらず球面全体を一様に渡るような工夫をしなければなりません。

\begin{align} \mathscr{Q}f(g)=\int_{\partial\Omega}f(x^1u+\sqrt{\|x\|^2-(x^1)^2}v+ru+y)\omega \end{align}

となるように $g$ をとればよいでしょう。これを $v$ に関して $\partial S_u$ 上で積分し、$u$ に関して $S^{n-1}$ 上で積分すれば $x$ によらずに球面全体で一様な積分になります。

\begin{align} \int_{S^{n-1}}\bigg\{\int_{\partial S_u}\mathscr{Q}f(g)\omega^u_v\bigg\}\omega_u&=\int_{\partial\Omega}\bigg\{\int_{S^{n-1}}\bigg\{\int_{\partial S_u}f(x^1u+\sqrt{\|x\|^2-(x^1)^2}v+ru+y)\omega^u_v\bigg\}\omega_u\bigg\}\omega_x\\ &=\sigma_{n-2}\int_{\partial\Omega}\psi(\|x+re_1\|,y)\omega \end{align}

今回はここまで。次回は、$\psi$ と関連付けたポンペイユ変換を動径方向の関数として考えていきます。(written by J.Nishigata)

研究150- 凸体境界上の積分と球面上の積分