レイリー限界と焦点深度の式を思い出しましょう。

\begin{align} &\text{レイリー限界}=0.61\dfrac{\lambda}{\mathrm{NA.}}\\ &\text{焦点深度}=\dfrac{\lambda (1+\sqrt{1-\mathrm{NA.}^2})}{4\mathrm{NA.}^2} \end{align}

被写体側と結像側の屈折率の比を $1$ とおくと、このようになります。開口数を変数とした関数として、レイリー限界は単調減少関数になっています。同様に焦点深度も単調減少関数ですね。したがって、開口数を介して分解能が良くなるほど焦点深度は浅くなります。

焦点深度が浅いということは、すなわちフォーカス制御が困難であることを意味します。レイリー限界と焦点深度は利点に関してトレードオフであると考えることができますね。

適切な開口数のレンズを選ぶためにはトレードオフに注意しなければなりません。用途に適した分解能と焦点深度が与えられていれば開口数を上下から評価することができます。片方だけの性能にとらわれず、適切な開口数を選ぶようにしましょう。

余談ですが、開口数が充分小さい場合、焦点深度は

\begin{align} \text{焦点深度}\approx\dfrac{\lambda}{2\mathrm{NA.}^2} \end{align}

のように近似できます。必要に応じて使い分けると計算が簡単です。今回はここまで。次回は、具体的にフォーカスのズレた光学像を計算してみましょう。(written by J.Nishigata)

光・波動39- レイリー限界と焦点深度の相関