【USE CASE:衛星写真(建物)】RINGの適用

【背景・目的】

 近年、衛星コンステレーション等の登場により、衛星画像の利用頻度が急増しています。高解像度衛星と異なり、コンステレーション衛星には分解能が悪いという課題があります。今回は、この分解能の課題がRINGによって緩和されるか調べてみることにします。

 用いる衛星画像はSentinel-2のカラー画像(分解能20m前後)とします。分解能程度のサイズの構造物の見え方の変化を確認していきましょう。


【対象となる建物】

 イタリア・ローマに所在するBanca Popolare di Sondrioという建造物に注目してみましょう。



 画像はGoogleMapから引用しています。なお、この画像はSentinel-2に比べて明らかに高解像なので、正解画像として直接評価に用いることができます。


【RINGによる解析結果】

左:RING適用前  右:RING適用後


①建物の中央部

定量的に評価するため、ツール(Image-J)でラインプロファイルと作成してみます。

ラインの向きは、左上から右下へ。


↓上のPlotがRING適用前、下のPlotがRING適用後。

【①結論】

 各ピークは左から、「①壁、②くぼみ、③壁、④中通り、⑤壁、⑥くぼみ、⑦壁」となっている。

 RING適用で、ピークのコントラスト改善・分離性能の向上が確認でき、構造物の視認性が良くなっていることがわかります。

 下の正解画像と比較すれば、解析結果の確からしさを確認することができます。


②建物の上部

上部についても評価してみましょう。



↓上のPlotがRING適用前、下のPlotがRING適用後。

【②結論】

 入力のプロファイルでは、シグナルorノイズの判断に困ってしまいますが、出力では明確な改善が確認できます。

 光学系の限界に近い解像度で撮影されている衛星画像ですが、RINGにより分解能は2倍改善します。これにより、衛星画像の利用価値を高めることが出来そうですね。

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