ノイズ成分は畳込みモデルから乖離しているため、ノイズのデコンボリューション像はリンギングアーチファクトになります。前回の遮断周波数で発生するアーチファクトの回避策と同様の手法で、このリンギングアーチファクトのレベルも下げることができると期待したいのですが、そもそもノイズが多い場合では冪級数の係数が上手く計算されずに環状項への変換に失敗します。

したがってノイズに関する課題は一概に解決可能か否か判定することはできません。恐らく或る SNR の閾値が存在して、それを上回っている場合はノイズを抑えることができ、逆に下回っている場合はデコンボリューションの効果は期待通りにはなりません。

デコンボリューションによる分解能改善効果で規格化してノイズを評価できれば、明確にノイズにのみスコープを絞って議論できるのですが、上手くはいかないようです。

デコンボリューションに成功するための SNR の充分条件に関しては別の機会に議論したいと思います。

さて、デコンボリューションの課題を解決してきましたが、残りは後 $2$ つですね。白飛びから発生するアーチファクトと分解能の限界の課題です。次回は白飛びの話をしましょう。(written by J.Nishigata)

研究101- デコンボリューションによるノイズの増加に関して