前回の具体例で分かる通り、剰余項の線型結合で零近似を作れば良いことが推察できます。今回は $a\langle 1\rangle_k=\langle b\rangle_k$ のように剰余項 $\langle b\rangle_k$ を生成する演算子 $a$ の話をします。

演算子 $1$ は自明なので、集合 $G=\{1\}$ からスタートしましょう。集合 $G$ から勝手に演算子 $a$ をとってきて

\begin{align} a\langle 1\rangle_k=\langle b\rangle_k \end{align}

を作ります。この方程式を微分します。

\begin{align} &r^2\Delta a\langle 1\rangle_k=rbk(1)\partial_r\psi-\partial bk(1)\psi+\langle (X^{-1}\partial+\partial^2)b\rangle_k,\\ &(2+r\partial_r)a\langle 1\rangle_k=bk(1)\psi-\langle X\partial b\rangle_k \end{align}

ここで $bk(1)=\partial bk(1)=0$ ならば $\psi,\partial_r\psi$ の項(これを環状項と呼びます)は消えて

\begin{align} &r^2\Delta a\langle 1\rangle_k=\langle (X^{-1}\partial+\partial^2)b\rangle_k,\\ &(2+r\partial_r)a\langle 1\rangle_k=-\langle X\partial b\rangle_k \end{align}

という今期待している式が得られます。集合 $G$ に $r^2\Delta a,(2+r\partial_r)a$ を追加しましょう。この手法を繰り返して $G$ をできるだけ大きくしておきます。

$G$ から勝手に $a$ をとってきて $a\langle 1\rangle_k=\langle b\rangle_k$ を作ったとき、$bk(1),\partial bk(1)$ の値で場合分けをしましょう。

i). $bk(1)\neq 0$ なる $a$ が存在する場合
ii). $bk(1)=0,\partial bk(1)\neq 0$ なる $a$ が存在する場合
iii). $(bk(1),\partial bk(1))\neq (0,0)$ なる $a$ が存在しない場合

今回はここまで。次回は i) から順に考えていきます。(written by J.Nishigata)

研究16- 剰余項を生成する演算子の集合