或る領域に対して閾値(上限と下限)を定義してヒストグラムを引き延ばす処理を平坦化処理と呼びます。平坦化処理はコントラスト差を明確にするためによく使われます。

コントラスト差を改善したい点に対して、どのくらいの周辺をリファレンスするのかという問題と妥当な閾値の設定方法が見つかれば、使い勝手は大きく改善します。

リファレンス領域は、見たい点の周りの重み付きの円板状(適当なカーネル $k$)で指定します。コントラストの基準は $k$ による畳込み画像とすれば良いでしょう。したがって強調処理の前のコントラスト差は

\begin{align} k\ast f-f \end{align}

となります。コントラスト差に閾値を設定したいのですが、最も簡単な方法は最大値と最小値を閾値とするものです。この場合、すべてのデータがクリップされないという利点はありますが、極端な値が選択されてしまうと上手く働きません。或る程度データを均して閾値を決めるのであれば標準偏差を用いれば良いでしょう。

\begin{align} \mathrm{StdDev}=\sqrt{k\ast f^2-(k\ast f)^2} \end{align}

コントラスト差を上下から $+\mathrm{StdDev},-\mathrm{StdDev}$ 評価すれば良いです。統計的には 8 割くらいのデータがクリップされません。統計的なクリップ率を制御したいのであれば、標準偏差に定数を掛ければよいのですが、実験値で割合を制御したい場合は、この方法では上手くいきません。

標準偏差に掛かる定数を、データで決まる関数にしましょう。

\begin{align} S(t)=\{y-x\in\mathrm{supp}(k):-t\,\mathrm{StdDev} < (k\ast f)(y)-f(y) < t\,\mathrm{StdDev}\} \end{align}

のようにクリップしない領域を定義して、この領域の重み付き面積を

\begin{align} V(t)=k \ast \mathbb{1}_{S(t)} \end{align}

としましょう。カーネル面積に対する $V(t)$ の割合はクリップしないデータの割合を意味しますが、これは変数 $t$ に対して単調増加関数です。したがって指定した割合と一致するようにディリクレの方法で解けば $t$ が求まります。(written by J.Nishigata)

その他14- 平坦化処理の局所化