ホイヘンスの時代から既にエーテルという概念はあったようですが、当時から長い間エーテルは(光が波動であるために必須な)架空の媒質として存在の裏付けを取ることができませんでした。

初期のアイデアは「エーテルとは何か」という問いに基づきエーテルを探していたわけですね。しかし、これがなかなか見つからず、「エーテルは存在するのか」という問い掛けに転じることになります。

媒質に対して相対的に運動する力学系では、ドップラー効果が観測されます。この原理の通りに光でもドップラー効果が観測できれば間接的に媒質の存在を主張できます。この実験はマイケルソンモーリーの実験と呼ばれています。

波の性質の常識を考えると、当然のことながら肯定的に実験は終了するであろうと思いますよね。しかし現実は如何に精密に実験をしても否定的な結果しか出ませんでした。

最後の最後で常識が通用しない状況に追いやられたのですが、これをブレイクスルーさせたのが皆さんご存じのアインシュタインです。特殊相対性理論の登場によりエーテルの問題は完全解決しました。

今回はここまで。読み物系の回が続いてしまいましたが、次回からは少し理論をやっていきます。光は電磁波であることを支持して、電磁気の話から進めていきます。(written by J.Nishigata)

光・波動8- エーテル問題に終止符を打ったアインシュタイン