前回は波の性質について説明しました。しかし、ホイヘンスの言うように光は波ではないか、と言われてもいまいち腑に落ちません。私たちの思い描く波とは、水面波や音波のようなマクロなものですが、光に対してそのような実感はありません。

フレネルは光波動の理論を構築しましたが、やはり光が波動であることを認めさせるためには実験が必要になります。

最も初期の実験は、アラゴスポットの実験と呼ばれるものです。点光源からの光を離れた球体で遮るとき、回折現象による光の回り込みにより、球体の淵で位相の揃った光が重ね合わせで強め合い、影となっている領域に光点を発生させる、という実験です。天文分野で初めて発見された現象でしたが、光の波動性の文脈で扱われなかったため一度歴史に埋もれ、フレネルの理論の実証にあたり再発見されたという経緯があります。

この実験の成功により、今までの常識だったフェルマーの原理は間違っていたことが明らかになりました。更にその後、ヤングの 2 重スリットの干渉実験などを経験していく中で、光の波動性は市民権を得ていくことになりました。

さて、話が大きく変わるのですが、光は電磁波であるというのを聞いたことありますか。電磁波は重ね合わせ、回折、干渉を起こすだけでなく、直進性、反射、屈折も生じさせます。光と性質が似ているわけです。ホイヘンスの話のときも同じでしたが、性質の似ているものがある場合、一旦常識を取っ払って実は同じものなのではないかと疑うことがよくあります。今の場合は、実は光は電磁波なのではないかという疑いが発生します。

多くの科学者の功績により、今では光は波であり、その正体は電磁波であるという主張が通るようになっています。

今回はここまでですが、何か忘れていませんか。光の媒質って何でしょう。次回は、光の媒質の話をします。(written by J.Nishigata)

光・波動7- 光の波動性とその正体