前回までは幾何光学の話でした。物理学の考え方に関して勘違いをしている人がいるかもしれませんが、あらゆる現象の還元先は普遍的な真理ではなく、ただの仮説です。光の性質である「直進性」「反射」「屈折」は、フェルマーの原理が真理であるから導かれるのではなく、フェルマーの原理を仮定すると導かれるのです。したがってフェルマーの原理以外の仮説が存在していてもかまわないのです。

ということで、今回は波の研究をしたホイヘンスの話をします。

ホイヘンスが注目したのは、波面の時間変化でした。現時刻の波面と微小時間経過後の波面の間にはどのような相関があるでしょうか。

ホイヘンスの説明では、現時刻の波面上の各点から球面波が生成され、重ね合わされることにより次の時刻の波面が生まれます。これをホイヘンスの原理と呼びます。

ホイヘンスは、ホイヘンスの原理を使って波の直進性、反射、屈折を説明しましたが、これは光の性質と同じですね。

直感的に全く違うもの「光」と「波」ですが、同じ性質「直進性」「反射」「屈折」をもち、一方はフェルマーの原理で、もう一方はホイヘンスの原理で説明されます。最初の話に戻りますが、性質の還元先はあくまでも仮説です。「光は実は波です」ということは当時の常識に反しますが、仮説としては光は波であるとしても構わないわけです。

このような疑いを抱いた初めての人がホイヘンスだったのです。今回はここまで。次回は波の性質について調べていきます。(written by J.Nishigata)

光・波動5- 光の性質に関するホイヘンスの主張