近年、インターネット上での情報の多くを占めているものは、画像データです。近未来でのイメージセンサの出荷台数は年間1兆個に達すると言われており、AIを用いた画像利用と相まって、重要度は更に増していきます。

ここで問題となってくるのは、情報量のエネルギー効率です。現状、インターネット上の画像データの多くは不可逆圧縮技術により1/10前後まで圧縮されています。何故圧縮するのか、この根本的な原因は、「高周波成分の劣化により、元のデータ量に比べて1割程度しか情報が含まれていない」という物理学的な問題にあります。

この情報量を回復させることができるのであれば、元のデータ量を最大限に生かして、情報量のエネルギー効率を増加させることができます。

画像データを不可逆圧縮してしまうと、このコンセプトは破綻してしまいますが、圧縮しない場合はそれはそれで別の問題「通信コストの問題」が発生してしまいます。

しかし、通信コストの問題を解消することは容易でしょう。中央集権的なサービスが淘汰されていくこれからの時代、多くの処理はエッジコンピュータにオフロードされます。WVR法も同様にオフロードされるのであれば、通信上で非圧縮データを使う必要性はなくなります。

情報量のエネルギー効率を改善してAIの学習効率を飛躍的に改善することが3つ目の科学技術的なコンセプトでした。今回はここまで。次回は、進化論的なポジションでWVR法のコンセプトを考えたいと思います。(written by J.Nishigata)

研究162- WVR法の科学技術的なコンセプトその３