既にノンブラインド-デコンボリューションとして $\langle 1\rangle_k\mapsto\{\psi,\partial_r\psi\}\mapsto f$ という手順を説明しましたね。ブラインド-デコンボリューションの設計も $\{\psi,\partial_r\psi\}$ を途中に挟むという方針をとりたいと思います。

$\langle 1\rangle_k$ を $\{\psi,\partial_r\psi\}$ へ変換した時点で $k$ が未知であるという問題は解消されるので、前半だけ考えればよいです。

さて、以前説明したフレーム内処理のノンブラインド-デコンボリューションを思い出しましょう。$\langle 1\rangle_k\mapsto\{\psi,\partial_r\psi\}$ の変換はラプラシアンの冪級数で実行しました。そのとき用いたコスト関数は、剰余項の絶対値をコーシーの不等式で評価して得られた

\begin{align} \bigg\{\int_0^1XDk(X)^2\,dX\bigg\}^{1/2} \end{align}

でしたね。このコスト関数値を最小にするようにラプラシアンの冪級数の係数が決まるのでした。今回もこのようなことをやりたいのですが、残念ながら上記コスト関数には未知の関数 $k$ が含まれてしまっていますので、今回は使えません。次回、解決策を論じます。(written by J.Nishigata)

研究94- 環状項を経由するブラインド-デコンボリューション