存在命題なので背理法を使いましょう。任意の $\theta$ に対して $\chi(\xi^{-1}(\theta))=\chi(\xi^{-1}(\theta+\pi))$ が成立すると仮定します。前回求めた面積の式を使うと

\begin{align} |\Omega|&=\dfrac{1}{2}\int_0^{2\pi}\dfrac{C_2(\xi^{-1}(\theta))}{\chi(\xi^{-1}(\theta))}\,d\theta\\ &=\dfrac{1}{4}\int_0^{2\pi}\dfrac{C_2(\xi^{-1}(\theta))}{\chi(\xi^{-1}(\theta))}+\dfrac{C_2(\xi^{-1}(\theta+\pi))}{\chi(\xi^{-1}(\theta+\pi))}\,d\theta \end{align}

背理法の仮定を用いると

\begin{align} |\Omega|=\dfrac{1}{4}\int_0^{2\pi}\dfrac{C_2(\xi^{-1}(\theta))+C_2(\xi^{-1}(\theta+\pi))}{\chi(\xi^{-1}(\theta))}\,d\theta \end{align}

命題 a) の結論から、上の式の分子は幅 $c$ に等しく

\begin{align} |\Omega|=\dfrac{c}{4}\int_0^{2\pi}\dfrac{1}{\chi(\xi^{-1}(\theta))}\,d\theta=\dfrac{c}{4}|\partial\Omega| \end{align}

$|\partial\Omega|$ は以前求めた $\pi c$ でしたね。これを代入すると

\begin{align} |\Omega|=\dfrac{\pi c^2}{4} \end{align}

となります。ここで、定幅な凸体の面積評価の式を思い出しましょう。

\begin{align} |\Omega|\le\dfrac{\pi c^2}{4} \end{align}

であり、等号成立は $\Omega$ が円の場合に限る、という評価式でした。これで $\Omega$ が円になってしまい前提条件に反することが分かりました。背理法により b) は証明できました。今回はここまで。(written by J.Nishigata)

研究132- 命題 b) の証明